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治療した歯がまだ痛む|根管治療の再発

「治したはずの歯が、また痛み出した…」

それ、本当に治りきっていないのかもしれません。

  • 「以前、神経を取ったはずなのに、ズキズキ痛む」
  • 「かぶせ物をした歯が押すと痛い」
  • 「治療した歯ぐきが腫れてきた」

そんなご相談が、実はとても多いのです。

歯の根の中は非常に複雑で、肉眼では見えません。
そのため、治療したはずの歯でも、根の中で再び細菌感染を起こしてしまうことがあるのです。

私は、そういった“見えない再感染”にこそ、再治療の難しさと重要性があると考えています。
そして、歯を残すために本当に必要なのは、精密な根管治療です。

目次

治療した歯の痛み、こんな症状がある方はご注意ください

歯の違和感

✅ 押すと違和感がある

→ 「噛むと痛い 歯の根の炎症」という状態が考えられます。
歯の内部や根の先に軽度の炎症がある場合、見た目には問題がなくても、噛んだ時や指で押した時に「響くような痛み」を感じることがあります。これは、根管の中や先端で細菌が再び増殖しているサインかもしれません。

✅ かぶせ物をした歯がしみる

→ 「神経を取った歯 しみる」などの症状は要注意です。
本来、神経を取った歯はしみることはありません。
しかし、治療後の歯がしみる場合は、神経が完全に取りきれていなかったり、根の中に感染が再燃している可能性があります。特に深い虫歯だった歯や、複雑な根の形をした歯では、肉眼での治療では見落としが生じやすいのです。

✅ 治療した歯ぐきが腫れる

→ 「根の先に膿がたまっている(根尖病変)」状態です。
かぶせ物の歯の歯ぐきに「ぷくっ」とした腫れや、歯肉に小さな白いできものが現れた場合は、根の先に膿が溜まり、炎症が慢性化している可能性があります。自然に治ることは難しく、精密な再根管治療が必要です。

✅ 数年前に治療した歯がまた痛む

→「歯の再感染」「根管治療の再発」、あるいは「歯根破折」のリスクもあります。
一度治療が終わった歯でも、根の中に細菌が残っていたり、詰め物やかぶせ物の隙間から再感染が起こることがあります。特に、古い材料やラバーダム防湿が使われていない治療では、再発リスクが高まります。

また、治療から時間が経っている歯は、構造的に脆くなっているため、歯根にひび(マイクロクラック)が入っている可能性も考えられます。マイクロクラックは、肉眼やレントゲンでは見つけにくく、マイクロスコープを用いた診断が必要になります。

このような場合、痛みの原因を正確に見極めることが、歯を残すための第一歩です。

✅ レントゲンで異常なしと言われたけれど痛い

→ 「歯根破折」や「側枝(そくし)の感染」など、通常の検査で見逃されるケースも。
レントゲンで異常が見えなくても、歯のひび割れ(マイクロクラック)や、根の側面にある細い枝(側枝)からの感染が痛みの原因となっている場合があります。これらは、マイクロスコープを使わないと診断が難しいこともあります。

なぜ、治療した歯が再び痛むのか?

歯のトラブル

「昔、きちんと治療したはずなのに、なんでまた痛むの…?」

そう疑問に思われる患者さんは少なくありません。実は、「治療済みの歯が再び痛み出す」ことは、決して珍しいことではありません

その理由は、大きく分けて以下の3つにあります

1. 根管治療の不完全さ(見えない場所だからこそ、難しい)

歯の根の中(根管)は非常に複雑で細かく、肉眼では完全に把握できない構造になっています。
従来の治療では、目に見えないまま手探りで進めるしかなかったため、細菌が残ってしまったり、見逃された根管があるケースも。

その結果、数年後に「再感染」→「再発」という流れが起こることがあります。

2. 詰め物・被せ物の劣化によるすき間

歯の治療後に装着される詰め物や被せ物(インレー・クラウンなど)は、永久的にそのまま使えるわけではありません。
日々の咬む力による負荷や、経年による劣化・摩耗によって、歯との間にすき間が生じることがあります。

こうしたすき間は、ごく小さくても細菌の温床となり、内部で虫歯が再発したり、神経の再感染につながる原因になります。しかも、痛みや違和感が出るまで気づきにくく、気づいたときには根の中まで感染が進んでいることもあります。
特に金属の詰め物(いわゆる銀歯)は、歯との適合性や接着力に限界があり、経年的に腐食しやすいため注意が必要です。

3. 歯根破折が起きている可能性

「治療した歯がなんとなく浮いたように感じる」「噛むと違和感がある」──そんなとき、実は歯の根が割れている(歯根破折)ケースもあります。

特に、神経を取った歯(失活歯)は、水分が失われて脆くなっているため、強い咬合圧や金属の土台(メタルコア)の応力集中によって破折しやすいことがわかっています。

なかでも、昔ながらの「メタルコア(銀合金の土台)」による歯根破折は、多く報告されており、再治療が困難なケースも少なくありません。
破折の程度によっては、保存が難しく、抜歯に至ることもあるため、早期の診断と対応が非常に重要です。

3. 歯の根が割れている可能性も──「歯根破折」とは?

クラック・歯根破折

「治療した歯なのに、なんだか噛むと痛い」「ズキっと響くような違和感が続く」
──そのような症状がある場合、“歯の根が割れている”=歯根破折(しこんはせつ)が起きている可能性もあります。

特に、以下のような歯は注意が必要です。

  • 神経を取ってある歯(失活歯)
  • 金属の土台(メタルコア)を入れている歯
  • 過去に何度も治療を繰り返している歯

歯の根は非常に繊細で、中から強い力が加わることで“ひび割れ”や“縦に割れる”といったトラブルが起きることがあります。
一度割れてしまうと、肉眼での発見が難しく、違和感や再発の原因が分からないまま悪化していくことも少なくありません。

🔍 マイクロスコープで見える「ヒビ」もあります

当院では、歯根破折の疑いがある場合は、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いた精密な診査・診断を行います。
肉眼では見逃してしまうような小さな破折線も、拡大視野下なら正確に確認できるため、治療方針の決定にも大きく役立ちます。

場合によっては歯を残すことが難しいケースもありますが、「破折かもしれない」と悩んでいる段階での早期受診が鍵となります。

歯のひび(マイクロクラック)は、レントゲンにも写らないことが多く、診断が難しいのが現実です。そうした見えない亀裂が原因となる症状を「クラックトゥース症候群」と呼びます。

再感染した歯を残すためには

精密根管治療

根の中は非常に細く入り組んでおり、肉眼での確認が難しいため、通常の治療では見落としやすい箇所も存在します。
そのため、再感染や炎症の再発が起こりやすく、適切な治療には精密な診断と処置が欠かせません。

当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用した「精密根管治療(マイクロエンド)」を行い、肉眼では見えない細部までしっかり確認しながら治療を進めています。

また、ラバーダムというゴム製のシートを歯にかけることで、治療中に唾液や細菌が根管内に入るのを防ぎます。
これにより、治療の際の感染リスクを大幅に軽減でき、安全で効果的な治療が可能となります。

さらに、ニッケルチタン製の柔軟なファイルなどの専用器具を用いて、複雑な根管の形状に合わせて隅々まで丁寧に清掃・除菌を行い、薬剤でしっかり密閉処置を施します。

このような精密な治療を行うことで、再感染のリスクを抑え、歯をできる限り長く健康な状態で保つことが可能となるのです。

当院の精密根管治療の特徴

グランティース武蔵小山歯科のマイクロスコープ

マイクロスコープによる精密な治療
肉眼では見えない細かな根管の形状や病変部分も、マイクロスコープを使うことで拡大して詳しく確認できます。これにより、見落としや処置の不十分を防ぎ、より確実な治療を実現しています。

ラバーダムを使った感染防止対策
治療中に唾液や細菌が根管内に侵入するのを防ぐため、ゴム製のシート(ラバーダム)で治療歯を完全に隔離します。これにより、再感染のリスクを大幅に低減し、安全で衛生的な治療環境を整えています。

再発リスクを考慮した被せ物の設計(メタルフリー素材など)
治療後に装着する被せ物(クラウン)は、細菌の侵入を防ぎ、歯の耐久性を高める役割があります。当院では、再感染を防ぐために適切な素材や設計を選び、患者さんの健康を長期的に守ります。

できる限り歯を残すことを目指す治療方針
抜歯を最終手段とし、歯の保存を第一に考えています。精密な治療技術と適切な予防管理で、患者さんの大切な歯をできるだけ長く維持できるよう努めています。

再発を繰り返さないために大切なこと

家族の笑顔

根管治療後に装着する補綴物(クラウンやインレー)の適合精度は、治療の成功を左右する非常に重要なポイントです。わずかな隙間から細菌が侵入すると、再感染を招くリスクが高まります。

当院では、補綴物の設計から製作、装着まで一貫して丁寧に管理し、細部にまでこだわった精密な仕上がりを追求しています。これにより、患者さんの大切な歯を長期にわたって守り、安心して噛める健康な口元を維持できるよう努めています。

大切な歯を守るために、精密な治療と補綴の連携を大切にしてまいります。

👉詳しい治療内容や当院の精密根管治療については、こちらをご覧ください。

症状やお悩みからマイクロスコープによる精密根管治療をご検討中の方は、以下のページもぜひご覧ください。
👉歯を残したい|神経を残す・抜歯を避ける精密治療

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