噛むと歯が痛い…放置して大丈夫?考えられる原因と歯医者に行く目安

噛むと歯が痛いのはなぜ?まず知っておきたいこと
「食事中に噛むと歯が痛い」「硬いものを噛むとズキッとする」「普段は痛くないのに、噛んだ瞬間だけ痛む」。
このような症状があると、「そのうち治るだろう」と様子を見てしまう方も少なくありません。しかし、噛んだときの痛みは、歯や歯ぐきからの重要なサインであることが多く、放置すると症状が悪化する可能性があります。
実際に私の医院でも、「最初は噛んだときだけ痛かったのに、数週間後には何もしなくても痛くなった」「我慢していたら歯ぐきが腫れてしまった」という患者さんがいらっしゃいます。
もちろん、一時的な炎症で自然に落ち着くこともありますが、虫歯や歯周病、歯のひび、神経の炎症などが原因であれば、自然に治ることはほとんどありません。
「噛むと痛い」は歯からのSOSサイン
歯は、何らかの異常が起こると痛みという形で知らせてくれます。
特に「噛んだときだけ痛い」という症状は、歯に力が加わったときに炎症や異常が刺激されている状態です。
例えば、
- 虫歯が神経の近くまで進行している
- 歯の根の先に炎症がある
- 歯にひび(クラック)が入っている
- 歯周病によって歯を支える組織に炎症が起きている
- 詰め物や被せ物が高く、噛み合わせに問題がある
など、さまざまな原因が考えられます。
痛みが軽いからといって、病気も軽いとは限りません。
放置すると治療が大きくなることも
初期の段階で原因が分かれば、比較的負担の少ない治療で済むケースも多くあります。
しかし、症状が進行すると、
- 神経を取る治療(根管治療)が必要になる
- 歯が大きく欠けたり割れたりする
- 歯周病が進行して歯がぐらつく
- 最終的に抜歯が必要になる
といった可能性もあります。
大切な歯を長く残すためには、「噛むと痛い」という初期のサインを見逃さず、原因を正しく診断することが重要です。
自己判断せず、原因を調べることが大切
「冷たいものはしみないから虫歯ではない」「数日痛みがなくなったから治った」と自己判断してしまう方もいらっしゃいます。
しかし、噛んだときの痛みは見た目だけでは原因が分からないことも少なくありません。
歯のひびや根の炎症、噛み合わせの異常などは、レントゲンやCT、マイクロスコープなどの検査によって初めて原因が分かることもあります。
症状の原因を正しく見極めることで、適切な治療を選択し、ご自身の歯をできるだけ長く残せる可能性が高まります。
次の章では、「噛むと歯が痛い原因」について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
噛むと歯が痛い7つの原因
「噛むと歯が痛い」といっても、その原因は一つではありません。
虫歯が原因と思われがちですが、実際には歯のひびや歯周病、神経の炎症、噛み合わせの異常など、さまざまな病気やトラブルが考えられます。
原因によって治療方法は大きく異なるため、自己判断で様子を見るのではなく、まずは何が痛みの原因なのかを正しく診断することが大切です。
ここでは、噛んだときに歯が痛くなる代表的な7つの原因について解説します。
1. 虫歯

噛むと歯が痛くなる原因として最もよく知られているのが虫歯です。
虫歯が進行して神経に近づくと、噛んだときの圧力が神経に伝わり、痛みを感じることがあります。初期には「硬いものを噛んだときだけ痛い」という程度でも、進行すると冷たいものや温かいものがしみたり、何もしなくてもズキズキと痛むようになることがあります。
また、過去に詰め物や被せ物をした歯でも、その下で虫歯が再発する「二次う蝕」が起こることがあります。見た目では分かりにくいため、レントゲンなどの検査が必要になるケースも少なくありません。
虫歯は自然に治ることはないため、早めに治療することで歯を削る量を最小限に抑えられる可能性があります。
2. 歯の神経の炎症(歯髄炎)

歯の神経(歯髄)に炎症が起きている場合も、噛んだときに痛みを感じることがあります。
歯髄炎の多くは、進行した虫歯や歯のひび、強い衝撃などが原因で起こります。炎症が軽いうちは、「噛むと少し違和感がある」「冷たいものがしみる」といった症状だけのこともありますが、炎症が進行すると何もしなくてもズキズキと痛むようになり、夜眠れないほど強い痛みが出ることもあります。
また、神経が炎症を起こしている状態では、噛む刺激によって痛みが強くなることが少なくありません。
歯髄炎の初期であれば神経を残せる可能性がありますが、炎症が進行してしまうと根管治療(歯の神経の治療)が必要になることもあります。
「冷たいものがしみる」「熱いものでも痛い」「以前より痛みが強くなってきた」といった症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
3. 歯根膜炎(しこんまくえん)

「噛むと痛い」という症状で来院される患者さんに多い原因の一つが、歯根膜炎です。
歯根膜とは、歯と顎の骨の間にある薄いクッションのような組織で、噛んだときの衝撃を和らげる役割をしています。この歯根膜に炎症が起こると、噛むたびに強い痛みを感じるようになります。
歯根膜炎の原因はさまざまで、虫歯や歯の根の感染、歯周病の進行のほか、歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせの異常などによって歯に過度な力が加わることでも起こります。
歯根膜炎になると、
- 噛むと歯が浮いたような感じがする
- 歯を指で軽く押しただけでも痛い
- 歯が少し伸びたように感じる
- 硬いものを噛めない
といった症状が現れることがあります。
原因によって治療法は異なりますが、感染が原因であれば根管治療が必要になることがあり、噛み合わせが原因であれば調整を行うことで改善するケースもあります。
「噛むと痛いから虫歯だろう」と自己判断せず、原因を見極めることが大切です。
4. 歯のひび(クラック・破折)

見た目には問題がなくても、歯に細かなひび(クラック)が入っていることで、噛んだときだけ痛みが出ることがあります。
特に40代以降では、長年の噛む力の積み重ねや歯ぎしり・食いしばり、硬いものを噛んだことなどが原因で、歯にひびが入るケースは決して珍しくありません。
クラックの特徴は、「普段はほとんど痛くないのに、噛んだ瞬間だけ鋭い痛みが走る」ことです。また、噛んで離した瞬間に痛みを感じることもあります。
ひびが浅い段階では、肉眼やレントゲンだけでは発見が難しいことも少なくありません。そのため、必要に応じてマイクロスコープを用いて歯を拡大して観察して原因を調べます。
ひびが小さいうちに適切な処置ができれば歯を保存できる可能性がありますが、ひびが歯の根まで進行すると、抜歯が必要になることもあります。
「虫歯はないと言われたのに、噛むと痛い」という場合は、歯のひびが原因となっている可能性も考えられます。
5. 歯周病

歯周病が進行すると、噛んだときに歯が痛むことがあります。
歯周病は、歯を支えている歯ぐきや顎の骨に炎症が起こる病気です。初期には歯ぐきから血が出る程度のことが多いですが、進行すると歯を支える骨が徐々に失われ、噛んだときに痛みや違和感を感じるようになります。
特に炎症が強くなると、
- 歯が浮いたような感じがする
- 噛むと響くように痛い
- 歯ぐきが腫れている
- 歯がグラグラする
- 膿が出ることがある
といった症状が現れることがあります。
歯周病は自然に治ることはなく、放置すると歯を支える骨がさらに失われ、最終的には歯を失う原因にもなります。
歯周病による痛みを改善するためには、歯石の除去や歯周病治療を行い、炎症の原因となる細菌をコントロールすることが重要です。
歯ぐきからの出血や口臭なども気になる場合は、歯周病が原因となっている可能性があるため、一度歯科医院で検査を受けることをおすすめします。
6. 根管治療後の痛み

「神経の治療をした歯なのに、噛むと痛い」というご相談も少なくありません。
根管治療(歯の神経の治療)の直後は、治療による刺激で歯の根の周囲に一時的な炎症が起こるため、数日から1週間程度、噛んだときに痛みを感じることがあります。これは珍しいことではなく、多くの場合は時間の経過とともに落ち着いていきます。
一方で、治療からしばらく経っても痛みが続く場合や、一度治まった痛みが再び現れた場合は注意が必要です。
例えば、
- 根の先に炎症が残っている
- 根管内に細菌が残っている、または再感染している
- 歯にひびや破折が起きている
- 噛み合わせが高く、歯に過度な力がかかっている
などが原因となっていることがあります。
根管治療をした歯は神経がないため、「痛みがない=問題がない」とは限りません。症状が続く場合は原因を詳しく調べ、必要に応じて再根管治療や噛み合わせの調整などを検討します。
治療後の軽い痛みであれば様子を見てもよいことがありますが、痛みが強くなる、腫れを伴う、数週間経っても改善しないといった場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
7. 噛み合わせの問題(歯ぎしり・食いしばりを含む)

虫歯や歯周病がなくても、噛み合わせが原因で歯に痛みが出ることがあります。
例えば、新しく入れた詰め物や被せ物がわずかに高いだけでも、一部の歯に過度な力が集中し、噛むたびに痛みを感じることがあります。
また、無意識の歯ぎしりや食いしばりも、歯や歯を支える組織に大きな負担をかけます。特に睡眠中は自分の体重以上の力が加わることもあり、その状態が続くと歯根膜に炎症が起きたり、歯にひびが入ったりする原因になります。
このような場合は、
- 朝起きると歯が浮いたように感じる
- 顎が疲れている
- 特定の歯だけ噛むと痛い
- 痛む場所が日によって変わる
といった症状がみられることがあります。
噛み合わせが原因であれば、噛み合わせの調整やマウスピース(ナイトガード)の使用によって改善するケースも少なくありません。
噛むと歯が痛いとき、歯医者に行く目安は?

「少し痛むだけだから様子を見ても大丈夫?」「すぐに歯医者へ行ったほうがいいの?」と迷われる方も多いでしょう。
一時的な刺激による痛みであれば自然に治まることもありますが、痛みが続いたり、繰り返したりする場合は、歯や歯ぐきに何らかの異常が起きている可能性があります。
次のような症状がある場合は、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
痛みが2~3日以上続いている
一時的な炎症であれば数日で落ち着くこともありますが、2~3日経っても改善しない場合は、虫歯や歯周病、歯のひびなどが原因となっている可能性があります。
「少しずつ良くなるだろう」と放置すると、症状が進行して治療が大がかりになることもあるため注意が必要です。
何もしなくても痛むようになった
最初は噛んだときだけ痛かったのに、何もしていなくてもズキズキと痛むようになった場合は、神経の炎症や感染が進行している可能性があります。
特に夜眠れないほど痛む場合は、できるだけ早めの受診をおすすめします。
歯ぐきが腫れている・膿が出る
歯ぐきの腫れや膿は、細菌感染が起きているサインです。
放置すると炎症が広がり、強い痛みや発熱につながることもあります。抗菌薬だけでは根本的な解決にならないため、原因に応じた治療が必要です。
噛めないほど痛い、歯がグラグラする
痛みが強く、食事ができないほどの場合や、歯が大きく揺れている場合は、歯周病の進行や歯の破折などが疑われます。
歯を残せる可能性を高めるためにも、できるだけ早く歯科医院で診察を受けましょう。
痛みが治まっても一度は受診を
「昨日まで痛かったのに今日は痛くない」という場合でも、安心とは限りません。
例えば、神経が壊死して一時的に痛みを感じなくなったり、炎症が一時的に落ち着いているだけだったりすることがあります。
痛みが消えたからといって原因まで治ったとは限らないため、一度歯科医院で原因を確認しておくことをおすすめします。
嚙むと歯が痛い時、歯医者ではどのような検査・治療を行う?

「噛むと歯が痛い」といっても、その原因は虫歯だけではありません。
そのため、見た目だけで判断するのではなく、症状や痛みの出方、検査結果を総合的に確認しながら原因を特定していきます。
原因が分かれば、それぞれに適した治療を選択できるため、大切な歯をできるだけ残せる可能性も高まります。
問診・視診
まずは、「いつから痛むのか」「どのようなときに痛むのか」「冷たいものや熱いものはしみるか」など、症状について詳しくお伺いします。
その後、お口の中を確認し、虫歯や詰め物・被せ物の状態、歯ぐきの腫れ、噛み合わせなどを診査します。
レントゲンによる検査
歯の根の先の炎症や、歯を支える骨の状態は、肉眼だけでは分からないことが少なくありません。
そのため、必要に応じてレントゲンを用いて詳しく検査します。
マイクロスコープによる精密な診査
歯のひび(クラック)や、小さな虫歯、根管内の状態などは、肉眼では確認が難しいことがあります。
マイクロスコープを使用すると、患部を数十倍に拡大して観察できるため、原因をより正確に診断し、必要以上に歯を削らない治療にもつながります。
原因に応じた治療を行います
検査で原因が分かったら、それぞれに適した治療を行います。
例えば、虫歯であれば虫歯治療、歯周病であれば歯周病治療、根の先の炎症であれば根管治療、噛み合わせが原因であれば噛み合わせの調整など、原因によって治療方法は異なります。
噛むと歯が痛いときによくあるご質問
- 噛むと痛いのに、何もしなければ痛くありません。虫歯でしょうか?
-
必ずしも虫歯とは限りません。
虫歯のほかにも、歯のひび(クラック)、歯根膜炎、歯周病、噛み合わせの異常などでも、噛んだときだけ痛みが出ることがあります。
見た目では原因が分からないことも多いため、痛みが続く場合は歯科医院で検査を受けることをおすすめします。
- 噛むと痛かったのですが、数日で治りました。受診しなくても大丈夫ですか?
-
一時的な炎症で症状が改善することもありますが、痛みがなくなったからといって原因まで治ったとは限りません。
例えば、神経の炎症が進行して一時的に痛みを感じなくなったり、炎症が落ち着いているだけの場合もあります。
同じ症状を繰り返す場合は、一度歯科医院で原因を確認することをおすすめします。
- 根管治療をした歯が噛むと痛いのは異常ですか?
-
治療直後であれば、歯の根の周囲に一時的な炎症が起こり、数日から1週間程度痛みが続くことがあります。
一方で、数週間経っても改善しない場合や、一度治まった痛みが再び現れた場合は、根の先の炎症や再感染、歯のひびなどが原因となっている可能性があります。
気になる症状が続く場合は、治療を受けた歯科医院で相談しましょう。
- 噛むと痛いときは様子を見ても大丈夫ですか?
-
軽い違和感であっても、数日以上続く場合や痛みが強くなる場合は、様子を見続けることはおすすめできません。
噛むと痛い症状の背景には、虫歯や歯周病だけでなく、歯のひびや歯の根の炎症などが隠れていることがあります。
早めに原因を調べることで、歯を削る量を抑えられたり、大切な歯を残せたりする可能性が高まります。
噛むと歯が痛いときは早めに原因を調べましょう

噛むと歯が痛い症状は、虫歯だけが原因ではありません。
歯の神経の炎症や歯周病、歯根膜炎、歯のひび、噛み合わせの異常など、さまざまな原因が考えられます。また、複数の原因が重なって痛みが生じていることも少なくありません。
「噛んだときだけ痛いから大丈夫」「そのうち治るだろう」と自己判断してしまうと、症状が進行し、神経の治療や抜歯が必要になるケースもあります。
一方で、早い段階で原因を特定し、適切な治療を行うことで、大切な歯を残せる可能性は高まります。
噛むたびに違和感や痛みを感じる場合は、我慢せず、一度歯科医院で原因を調べることをおすすめします。
痛みの原因を正しく診断し、大切な歯を守りましょう
グランティース武蔵小山歯科では、「噛むと歯が痛い」という症状に対し、問診やレントゲンだけでなく、必要に応じて歯科用CTやマイクロスコープを活用しながら原因を詳しく診査・診断しています。
原因を正確に見極めることは、適切な治療につながるだけでなく、ご自身の歯をできるだけ長く残すことにもつながります。
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