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マイクロスコープによる精密根管治療

「ちゃんと治療したのに、まだ痛む」──そんな経験はありませんか?

虫歯を治したはずなのに、なんだか違和感が続く。
根の治療を受けたけれど、数ヶ月後にまた痛み出した……。

このようなお悩みを抱えて、当院を訪れる患者さんは少なくありません。
実は、肉眼では見えない“歯の奥の問題”が、痛みや再発の原因になっていることが多いのです。

私たちは、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いた精密な診療によって、
これまで見落とされがちだった細かな病変や処置ミスを確実に把握し、再発を防ぐ治療を行っています。

「もう、同じ治療を繰り返したくない」
「しっかり原因を突き止めて、納得して治療を受けたい」
そんな方にこそ、マイクロスコープ治療のことを知っていただきたいと思います。

目次

精密根管治療と通常の根管治療との違い

精密根管治療(せいみつこんかんちりょう)とは、マイクロスコープを使用し、歯の神経(歯髄)を取り除いた後、根の中(根管)を徹底的に清掃・消毒し、再感染を防ぐために精密に封鎖する高度な根管治療のことです。

項目通常の根管治療精密根管治療
使用機器肉眼または拡大鏡マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)
視野限られる根管内を詳細に確認可能
感染除去感覚と経験に頼る部分あり視認しながら確実に除去
封鎖精度標準的な材料と方法高精度な充填材と技術
成功率約50〜70%約90%以上と言われる(条件による)
費用保険適用保険適用外の処置あり

✨精密根管治療が必要になるケース

  • 過去に治療した歯が再び腫れた・痛み出した
  • 根の中に器具が残っている
  • 根の形が複雑
  • 銀歯や被せ物の下で感染が広がっている

✨主な使用機材や技術

  • マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)
  • ラバーダム防湿(唾液による再感染を防ぐ)
  • ニッケルチタンファイル(Ni-Tiファイル)(柔軟で複雑な根にも対応)
  • バイオセラミックシーラー
  • 高周波・超音波洗浄

精密根管治療は「歯を残す最後の砦」とも言える治療で、抜歯を回避したい方にとって非常に重要な選択肢です。費用は高めですが、それだけの価値がある精度と成果を追求する治療と言えるでしょう。

ニッケルチタンファイル(Ni-Tiファイル)とは?

当院では、根管治療においてニッケルチタンファイル(Ni-Tiファイル)を使用しています。
これは、柔軟性と耐久性に優れたニッケルチタン合金で作られています。

🦷ニッケルチタンファイルの主な特徴

  • 優れた柔軟性
     曲がった根管にも追従しやすく、自然な形状を保ちながら無理なく拡大が可能。
     → 歯根に負担をかけず、歯の破折リスクを軽減します。
  • 高い耐久性
     疲労に強く、長時間の使用でも破折しにくい構造。
     → 治療中の器具破折によるトラブルの予防に役立ちます。
  • 精密な切削性能
     根管内の感染物質を効率よく除去し、治療の成功率を高めます
  • 回転式モーターによる自動化が可能
     モーター駆動で安定したスピードと圧力を保ちながら拡大が行えるため、精度の高い治療が短時間で実現できます。

🦷 症例に応じたNi-Tiファイルの使い分け

ニッケルチタンファイルにも種類があり、根管の状態や患者様の歯の形態に応じて使い分けています。

  • 単純な直線根管(前歯など)
     → 標準的なNi-Tiファイルを用いて迅速に根管拡大。
  • 強く湾曲した根管(大臼歯など)
     → より柔軟性に優れた「熱処理型Ni-Tiファイル」を使用し、根管の自然な形を維持。
  • 石灰化した狭窄根管
     → 初期形成にステンレスの手用ファイルを使用し、安全に経路確保した後、Ni-Tiに移行。
  • 再根管治療(リトリートメント)
     → 専用のNi-Tiリトリートメントファイルを使用し、古い充填材を効率的に除去。

すべての症例で同じ器具を使うのではなく、根管の形や難易度に合わせて選択することが、再発防止と精密治療のカギです。

当院では、症例に応じてNi-Tiと手用を適切に使い分けることで、安全で効果的な治療を行っています。

バイオセラミックシーラーとは?

当院では、根管治療においてバイオセラミックシーラーを使用しています。
従来のユージノール系シーラー(根管充填剤)に比べて高い生体親和性封鎖性を備えており、治療後の再感染リスクを最小限に抑えることができるとされています。

🦷特徴とメリット

  • 高い封鎖性
     バイオセラミックシーラーは、根管内の微細な隙間までしっかりと封鎖するため、細菌の再侵入を防ぎ、治療の成功率を向上させます。
  • 生体親和性が高い
     体に優しい材料であり、周囲の組織とのなじみがよく、炎症を起こしにくいのが特長です。
  • 自己硬化性・水分反応型
     体内の水分と反応して硬化する性質があり、根管内の環境に適した安定した硬化を実現します。
  • 再感染リスクの低減
     長期間にわたり安定した封鎖を維持できるため、再治療の可能性が大きく下がります。
  • 環境にやさしい成分
     有害な物質を含まず、患者様の体にも環境にも優しい素材です。

より確実で安心な根管治療をご提供するため、当院ではこのような先進的な材料を積極的に導入しています。
精密な顕微鏡治療と併用することで、「再発させない治療」を実現しています。

✨なぜ当院がバイオセラミックシーラーを使うのか?

根管治療の成否は、「どれだけ確実に細菌を封じ込められるか」にかかっています。
バイオセラミックシーラーは、封鎖性・生体への優しさ・治療の予後のおいて、従来の材料を上回る性能を持っているといわれています。

顕微鏡下での精密な治療とこの高性能なシーラーを組み合わせることで、再発しにくく、歯を長持ちさせる根管治療を実現しています。

🔎参考:バイオセラミックシーラーとユージノール系シーラーの違い

特徴バイオセラミックシーラーユージノール系シーラー
封鎖性微細な隙間まで強力に封鎖し、再感染を防ぐ封鎖性がやや劣るため、再感染リスクがやや高い
生体親和性高く、周囲の組織に優しいやや刺激があり、炎症を引き起こすこともある
硬化反応水分と反応して自然に硬化(湿潤環境に強い)空気との反応や化学反応で硬化(湿潤に弱い)
耐久性経年劣化が少なく、長期間安定劣化や溶解が起こる可能性がある
抗菌作用pHが高く、抗菌作用を有する一定の抗菌性はあるが持続性に乏しい
環境への影響無害で安全な成分構成ユージノールによりアレルギー反応の報告もあり

当院では、顕微鏡・Ni-Tiファイル・バイオセラミックシーラーという三つの柱を活用し、患者様にとって最良の結果となるよう努めています。

精密根管治療の一般的な流れ

① 診査・診断(初診)

  • 問診・視診・打診・レントゲン撮影
  • 根尖(歯の根の先)に病変があるか、感染状況、歯の保存可能性を確認
  • 治療の説明と費用、回数の目安を共有

② 治療準備(初回または前処置)

  • ラバーダム防湿を装着(唾液や細菌の混入を防ぐ)
  • 古い詰め物や被せ物がある場合は除去
  • 歯肉より上の歯が崩壊している場合は、隔壁を作成する。
  • 汚染された根管の入口を探し、治療可能な状態を整える

③ 根管内の感染除去(主治療)

  • マイクロスコープ下で拡大視野のもと治療
  • 細菌感染した神経や汚染物質を丁寧に除去
  • ニッケルチタンファイルなどで根管を整形
  • 超音波や高周波器具で根管内を徹底洗浄・消毒
  • 必要に応じて一時的な薬剤を入れ、仮封

※この治療は、根管の形態によって治療回数が異なる

④ 根管充填(最終封鎖)

  • 感染が落ち着いたことを確認し、バイオセラミックシーラーとガッタパーチャで根管を緊密に封鎖
  • 微細な隙間も防ぐことで再感染のリスクを最小化

⑤ 補綴(かぶせ物など)

  • 根管治療終了後、土台(コア)**を立てて補強
  • 最終的なクラウン(被せ物)で機能と見た目を回復
  • 歯の強度を保つため、この工程も非常に重要

**土台(コア):当院では、安全性の高いファイバーコアを用いています。

⑥ 経過観察

  • 数か月〜1年ほど経過観察(レントゲンなどで確認)
  • 再発がないか、歯の状態が安定しているかをチェック

🦷 ①~④までの治療期間・回数・費用の目安

  • 回数:2〜5回程度
  • 期間:1〜2か月程度(通院頻度にもよる)
  • 費用:当院では、3万~5万円程度(病態による)

🔎補足

根管治療終了後、経過が安定を確認し、補綴治療(被せ物の作成)に入ります。

精密な治療をご希望の方は、ぜひ一度ご相談ください

「治療を繰り返したくない」「見えない部分まできちんと確認して治してほしい」
そんな想いをお持ちの方には、マイクロスコープを用いた精密歯科治療が適しています

グランティース武蔵小山歯科では、視野拡大による正確な診断・治療を重視し、歯をできる限り残すことを目指した診療を行っています。
これまでの治療で不安や違和感を感じている方も、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたの歯の健康を、精密かつ丁寧にサポートいたします。


**参考
Ferrari et al., 2000年:ファイバーポストの臨床性能に関する後ろ向き研究https://www.rtddental.com/media/files/documents/Ferrari_-Retrospective-study-of-the-clinical-performance-of.pdf
Fokkinga et al., 2004年:ファイバー、金属、セラミックポストの破折モードに関する構造化分析
https://www.researchgate.net/publication/8331789_A_structured_analysis_of_in_vitro_failure_loads_and_failure_modes_of_fiber_metal_and_ceramic_post-and-core_systems

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